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宇宙シリーズ 第10回:レモン彗星(C/2023 H2 Lemmon)— 2025年10月21日に地球最接近、1000年級の天体ショー

(最終更新:2025/10/18)

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レモン彗星とは?長周期彗星の概要

レモン彗星(C/2023 H2 Lemmon)は、太陽系外縁「オールトの雲」から飛来する長周期彗星。出現は極めて稀で、今回が観測できる最後の機会になる可能性があります。彗星は“太陽系の化石”と呼ばれ、成分分析から太陽系初期の姿を知ることができます。

発見の歴史:名前の由来と経緯

名称の「Lemmon」は米アリゾナ州のマウントレモン天文台に由来。複数の「Lemmon彗星」が存在し、今回のC/2023 H2はその最新型です。当初は暗い小天体と考えられましたが、観測が進むにつれコマと尾が確認され、正式に彗星として登録されました。

軌道と周期:なぜ「一生に一度」なのか

レモン彗星は、太陽系の外縁部まで届く細長い軌道を持ちます。公転周期はおよそ1000年以上。木星など巨大惑星の重力による摂動で多少変動するものの、次回の接近はおよそ西暦3180年頃と予測されています。つまり現代人にとって生涯一度の天体ショーです。

特徴(明るさ・色・尾・活動)

  • 明るさ:ピーク時は3〜4等級前後。条件次第で肉眼でも確認可能。
  • 色:青緑色のコマを持つ美しい彗星。C₂やCNのガスが太陽光を反射して光ります。
  • 尾:イオンテイル(青白く直線的)とダストテイル(黄白く広がる)の二本が観測されています。
  • 活動:近日点は2025年11月8日。この前後はガス・塵の放出が最大化され、尾の変化も見どころです。

2025年の観測ガイド

最接近は2025年10月21日!

2025年10月21日、レモン彗星は地球から約0.60天文単位(約8900万km)の距離まで接近します。10月中旬〜下旬は明るさと高度がともに好条件で、観測の絶好機となります。

見える時期/時間帯/方角

  • 〜10月中旬:明け方の東の空。低空なので双眼鏡が必要。
  • 10/18〜10/25:日没後の西〜北西の低空に出現。日の入り30〜60分後が最適。
  • 10月下旬〜11月上旬:ピーク期。18〜19時頃、西の空で尾が確認しやすくなります。
  • 11月中旬以降:徐々に暗くなり観測困難。

目印:うしかい座のアルクトゥルスや、かんむり座のアルフェッカを参考に星図アプリで探すと見つけやすいです。

観測のコツ(肉眼/双眼鏡/撮影)

  • 肉眼:まず双眼鏡で捕捉してから肉眼で淡い光を確認。
  • 双眼鏡:7×50・8×42クラスが理想。視野が広く彗星の移動を追いやすい。
  • 場所:西〜北西の低空が開けた暗所(海岸・高台)。
  • 撮影:ISO1600〜6400、露出10〜20秒。多数撮影してスタック処理で尾が浮き上がります。

ネオワイズ彗星などとの比較

2020年のネオワイズ彗星(C/2020 F3)は肉眼で明瞭に見えた2等級でした。今回のレモン彗星はそこまで明るくはないものの、2025年で最も観測しやすい彗星として期待されています。西村彗星(C/2023 P1)よりも観測期間が長く、写真撮影にも好条件です。

役立つアプリ・機材

  • 星空ナビ(国立天文台公式)— かざして彗星の位置を確認。
  • iステラ/スマートステラ — 精密な星図とAR表示が便利。
  • ステラナビゲータ(PC)— 撮影計画やシミュレーションに最適。
  • The Sky Live/Heavens-Above — 最新の位置情報をリアルタイムで取得。
  • 双眼鏡/望遠鏡 — まずは手持ちの双眼鏡から。低倍率で探索、中倍率で観察。

まとめ

2025年10〜11月は、レモン彗星を楽しむ絶好の機会。特に10月21日前後の日没後、西の空を注目。双眼鏡と開けた空、そして少しの忍耐があれば、1000年に一度の訪問者に出会えるかもしれません。


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