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太陽系外惑星の「第2の地球」候補:6000個の発見から見えてきたこと

1995年に最初の太陽系外惑星(系外惑星)が見つかってからおよそ30年。
現在では、NASAのカタログベースで6000個を超える系外惑星が確認されています。さらに、確認待ちの候補も数千個単位で蓄積されており、「星には惑星がついていて当たり前」という見方が主流になりつつあります。

では、その中に地球に似た環境を持つ「第2の地球」候補はどれくらいあるのでしょうか。
本記事では、

  • そもそも系外惑星とは何か
  • どうやって見つけているのか
  • どんなタイプの惑星が多いのか
  • 生命が住めそうな惑星候補の現状
  • 今後10年の観測計画で何が変わるのか

を、最新のトピックを交えながら整理します。

目次

目次

1. 結論(要点)

最初にポイントだけ押さえておくと、現状は次のようなイメージです。

  • 確認された系外惑星は6000個超。ほかに数千個の「候補」が控えている。
  • サイズも軌道もバラバラで、太陽系には存在しないタイプ(ホットジュピター、スーパーアース、ミニネプチューンなど)が多数派。
  • 恒星の「ハビタブルゾーン(液体の水がありそうな距離)」に位置する岩石惑星もすでに多数見つかっている。
  • ただし、「地球そっくり」と言える惑星はまだ確認されていない。大気の組成や海の有無まで分かっている例はごく一部。
  • ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)や今後のローマン望遠鏡・PLATOなどにより、2030年代に「かなり地球に近い惑星」の大気が詳しく調べられる段階に入る見込み。

つまり現時点では、「第2の地球はまだ“決定版”はないが、有力候補をふるいにかける段階に入ってきた」という状況です。

2. 系外惑星とは何か

系外惑星(exoplanet)とは、「太陽系の外にある、他の恒星の周りを回る惑星」の総称です。
私たちが夜空に見ている星(恒星)の多くにも、地球や木星のような惑星がついていると考えられています。

1995年に、ペガスス座51番星の周りで最初の系外惑星(51 Pegasi b)が見つかりました。この惑星は木星並みに大きいのに、主星から非常に近い距離を回っており、数日周期で公転する「ホットジュピター」と呼ばれるタイプです。
当時の理論では「巨大ガス惑星は木星のように外側を回るはず」と考えられていたため、この発見は惑星形成論に大きな修正を迫りました。

その後、観測技術の進歩とともに発見数は加速度的に増え、今では“星があれば惑星もある”というのが標準的なイメージになりました。銀河全体で見れば、惑星の数は星の数をはるかに上回るとも言われます。

3. どうやって見つけているのか(観測手法の基本)

多くの系外惑星は、直接「点」として撮影されているわけではありません。恒星に比べて惑星の光は非常に暗く、ほとんどの場合は間接的な揺らぎから存在を推定しています。代表的な手法は次の2つです。

3-1. トランジット法(通過法)

惑星が恒星の手前を通過すると、一時的に恒星の光がわずかに暗くなります。この「減光」を連続的にモニタリングし、一定周期で暗くなる星を探すのがトランジット法です。

  • 減光の深さ → 惑星の大きさ(半径)
  • 減光の周期 → 公転周期・軌道半径

を推定できます。
NASAのケプラー宇宙望遠鏡や後継のTESSは、この手法で数千個の惑星候補を見つけました。

3-2. ドップラー法(視線速度法)

惑星の重力を受けた恒星は、ごくわずかに「ふらつき」ながら動きます。この運動により、恒星のスペクトル(色)にドップラー効果が現れ、手前に来るときはわずかに青、遠ざかるときは赤にずれます。

高精度の分光観測でこの揺らぎを測定すると、

  • 惑星の最小質量
  • 軌道周期・軌道の楕円度

といった情報が得られます。トランジットと組み合わせると、質量と半径から惑星のおおまかな密度(=岩石っぽいか、ガスっぽいか)も推定可能です。

3-3. 直接撮像など、その他の手法

一部の系外惑星は、恒星の光をマスクして惑星そのものの光を直接撮像した例もあります。ただし、現状では明るい若い巨大惑星が中心で、数は全体のごく一部です。
このほか、重力レンズ効果を利用するマイクロレンズ法や、恒星の位置の揺れを精密に測るアストロメトリ法なども使われています。

4. 見つかった惑星はこんなに多様

観測が進むにつれて、系外惑星の世界は太陽系の常識では想像できないほど多様であることが分かってきました。代表的なタイプをいくつか挙げます。

4-1. ホットジュピター

木星級の巨大ガス惑星が、主星に極端に近い距離を公転しているタイプです。公転周期は数日程度で、表面温度は千度を超えることもあります。最初期に多数見つかったため、系外惑星の歴史を語るうえで欠かせない存在です。

4-2. スーパーアース/ミニネプチューン

地球より大きく、海王星より小さい中間サイズの惑星です。質量・組成はさまざまで、

  • 地球を大きくしたような岩石惑星(スーパーアース)
  • 厚いガスをまとう小型のガス惑星(ミニネプチューン)

に分かれると考えられています。太陽系には存在しないサイズ帯のため、形成過程の研究が盛んです。

4-3. 周連星惑星・極端環境惑星

二つの恒星のまわりを回る周連星惑星もあれば、マグマの海で覆われた「溶岩惑星」、恒星から離れすぎてほぼ氷の塊のような惑星など、極端な環境の世界も多数見つかっています。

こうしたバリエーション豊かなサンプルから、惑星形成のシミュレーションを検証し、「星と惑星はどんな組み合わせが多いのか」が少しずつ見えてきています。

5. 「第2の地球」候補と生命の手がかり

多様な惑星の中でも、特に注目されるのが生命が存在できそうな環境を持つ惑星です。ここでのキーワードがハビタブルゾーンです。

5-1. ハビタブルゾーンとは

ハビタブルゾーンとは、「惑星表面に液体の水が安定して存在しうる恒星からの距離」のことです。星が明るすぎても暗すぎてもダメで、ちょうど良い温度範囲にある必要があります。

ケプラーやTESSの観測から、ハビタブルゾーン内に位置する地球サイズ〜数倍程度の惑星が多数見つかっています。代表例としては、

  • 7個の地球サイズ惑星を持つTRAPPIST-1
  • 太陽系から最も近い恒星系に属するプロキシマ・ケンタウリb

などがあり、いずれも「水がありうる温度帯」にあります。ただし、実際に水があるかどうか、大気がどんな成分なのかは、さらに詳しい観測が必要です。

5-2. 大気の“におい”をかぐ:JWSTの役割

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、系外惑星の大気を詳しく調べる切り札です。トランジット中に惑星大気を通過した恒星光を分光することで、

  • 水蒸気(H2O)
  • メタン(CH4
  • 二酸化炭素(CO2

などの特徴的な吸収線を検出できます。最近では、海洋惑星候補K2-18bの大気からメタン・二酸化炭素が検出され、「生命活動かもしれない」と注目された分子の存在が議論になりました。
現時点では決定的な生命証拠とまでは言えない、というのが専門家のコンセンサスですが、「大気組成レベルで生命の“におい”を探る時代に入った」ことを示す象徴的な例です。

5-3. どこまで分かれば“生命発見”と言えるのか

仮に、ある惑星の大気から

  • 酸素とメタンのように、同時に存在しにくいはずのガスが大量に見つかる
  • 地球では生物だけが大量に作るような特殊な分子が検出される

といった状況になれば、「生命がいる可能性が非常に高い」と評価されます。
とはいえ、1種類の分子だけで「生命発見」と宣言することは基本的にないと考えられています。今後は複数のシグナルや惑星の文脈を総合して判断するルール作りが進む見込みです。

6. これから10年の注目ミッション

「第2の地球」探しを加速させる計画として、今後10年で注目されるミッションを簡単に整理します。

6-1. ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡

ローマン望遠鏡は、ハッブル級の解像度で非常に広い視野を一気に撮影できる宇宙望遠鏡です。重力マイクロレンズ法などを活用し、これまで見逃していたタイプの惑星を多数発見すると期待されています。

6-2. 欧州のPLATOミッション

PLATOは、明るい星の周りを回る地球サイズの惑星をトランジット法で探すことに特化した衛星です。
「距離が近くて明るい星+地球サイズ惑星」の組み合わせは、将来の大気観測のターゲットとして最優先されるため、PLATOの成果はそのまま「第2の地球候補リスト」の充実につながります。

6-3. 次世代巨大地上望遠鏡・将来の「ハビタブルワールド天文台」

30m級の巨大地上望遠鏡(ELT、TMTなど)が本格稼働すると、これまで観測が難しかった暗い星の系外惑星や大気の細かな特徴まで測定できるようになります。
さらに、2030年代〜40年代には、NASAが検討中のHabitable Worlds Observatory(ハビタブルワールド天文台)のように、「地球型惑星を直接撮像し、大気中の酸素などを探す」ことを目的にした計画も構想されています。

7. まとめ:第2の地球探しはどこまで進んだか

改めて、本記事のポイントをまとめます。

  • 確認済みの系外惑星は6000個超。候補まで含めると、その数はさらに膨大。
  • ホットジュピターやスーパーアースなど、太陽系にはないタイプの惑星が多数派であり、惑星系の多様性は想像以上。
  • ハビタブルゾーン内にある地球サイズの惑星もすでに多数見つかっているが、「地球そっくり」と言える決定的候補はまだない。
  • JWSTによる大気観測で、メタンや二酸化炭素などの成分が分かるようになり、「生命のにおい」を探るフェーズに入りつつある。
  • これから10年で打ち上がるローマン望遠鏡やPLATO、巨大地上望遠鏡、将来のハビタブルワールド天文台などが、第2の地球候補の発見と精査を一気に進める鍵になる。

夜空の星ひとつひとつの周りに、これほど多くの惑星があることが分かった今、「宇宙に生命がいるのは地球だけか?」という問いに対する答えは、もはや時間の問題かもしれません。
次の10年で、「この惑星の大気には生命由来としか考えにくいシグナルがある」と言えるようなケースが現れるかどうか――その一歩手前まで、観測技術は確実に近づいています。

8. 関連記事(宇宙シリーズ)

9. 出典・参考リンク

  • NASA Exoplanet Archive:Confirmed Planets(2025年11月時点の系外惑星数など)
  • NASA:NASA’s Tally of Planets Outside Our Solar System Reaches 6,000
  • NASA:Exoplanets(系外惑星の基礎情報と観測手法)
  • NASA:James Webb Space Telescope – Exoplanet Science(大気観測とK2-18bなどの結果)
  • ESA / NASA:Nancy Grace Roman Space Telescope, PLATO mission 概要

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宇宙(カテゴリー「宇宙シリーズ」)

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