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宇宙シリーズ第16回:木星 ― 太陽系最大のガス巨星の正体

木星は太陽系最大の惑星だ。直径は約14万km、質量は地球の約318倍。高速自転と強大な磁場、数多くの衛星、そして大赤斑で知られる。本稿は「基本データ → 仕組み → 観測の見どころ → 探査と最新トピック」を短く整理する。

Junoが撮影した木星の大赤斑と周辺の嵐(強調色)
Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS(出典ページ

目次

  1. 1. 木星の基本データ
  2. 2. ガスジャイアントの内部構造
  3. 3. 大気と嵐:大赤斑とジェット気流
  4. 4. 強力な磁気圏とオーロラ
  5. 5. 木星の衛星:ガリレオ衛星の個性
  6. 6. 探査史と最新ミッション
  7. 7. 木星が太陽系にもたらす影響
  8. 8. 観望ガイド:今夜の見どころ
  9. 9. よくある質問(FAQ)
  10. 10. 関連記事(宇宙シリーズ)
目次

1. 木星の基本データ

  • 種類:ガスジャイアント(主成分は水素とヘリウム)。
  • 大きさ:直径約14万km。地球の約11倍。
  • 質量:地球の約318倍。表面重力は地球の約2.5倍相当。
  • 自転周期:約10時間。高速自転で赤道が膨らむ。
  • 公転周期:約12年。太陽からの距離は平均5.2天文単位。
  • 環:淡いリングを持つ。土星ほど明瞭ではない。

2. ガスジャイアントの内部構造

上層は分厚い大気。その下に分子状水素の層、さらに深部では高圧により金属水素が支配的になる。中心部には重元素を多く含む核がある可能性が高い。Junoの重力測定は「小さく硬い核」より「拡散した核(重元素が広がる)」を示唆する。

3. 大気と嵐:大赤斑とジェット気流

縞模様は緯度方向のジェットが生む。雲はアンモニア、硫化アンモニウム、水などの凝結で色調が変わる。大赤斑は高気圧の巨大渦で、観測史上数百年続いている。サイズは変動しつつも地球より大きい。

4. 強力な磁気圏とオーロラ

木星は太陽系最強クラスの磁場を持つ。広大な磁気圏は太陽風と相互作用し、極域に明るいオーロラを生む。放射線帯は苛烈で、探査機設計の難所になる。

5. 木星の衛星:ガリレオ衛星の個性

  • イオ:活発な火山活動。硫黄由来の色調。
  • エウロパ:氷殻の下に全球的な海がある可能性。生命探査の最有力候補。
  • ガニメデ:太陽系最大の衛星。独自の磁場を持つ。
  • カリスト:古いクレーターだらけの表面。内部に海の可能性。

6. 探査史と最新ミッション

先駆はパイオニア10・11号とボイジャー1・2号だ。周回探査ではNASA「ガリレオ」探査機が詳細観測を実施。現在は「Juno(ジュノー)」が極軌道から重力・磁場・大気深部を調べている。JunoCamは市民が画像処理に参加できる公開プログラムで知られる。欧州の「JUICE」は氷衛星の詳細観測を目指し、NASAの「Europa Clipper」はエウロパの海を重点調査する計画だ。

7. 木星が太陽系にもたらす影響

巨大重力は小天体の軌道を大きく変える。トロヤ群小惑星の保持、彗星・小惑星の散乱、軌道共鳴の形成などで、内側の惑星環境にも間接的に作用する。

8. 観望ガイド:今夜の見どころ

  • 双眼鏡で縞模様のコントラストと衛星の並びが分かる。小型望遠鏡で大赤斑や衛星の影の通過が狙える。
  • 気流が安定する深夜にディテールが出やすい。色フィルターや画像処理で縞の階調が強調できる。
  • エウロパの掩蔽・食のイベントは見応えがある。天文アプリで時刻を確認。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 木星に固い地表はあるのか

ない。気体から液体相へと変わる層が続き、深部に重元素リッチな核があると考えられている。 Q2. 大赤斑はなぜ赤いのか

色の起源は未解明だが、太陽紫外線で生成されたクロモフォア(着色物質)や硫黄化合物の関与が有力とされる。 Q3. 生命がいそうな木星圏はどこか

氷衛星の地下海が最有力だ。特にエウロパとガニメデ。今後の探査で手がかりが増える。

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